先天性筋性斜頚

 先天性筋性斜頚とは?

先天性筋性斜頚とは、出生時におこる首の筋肉の外傷です。先天性とは、出生時からある状態のことを指します。斜頚とは、「頭部が斜めに向いている」という意味です。たいていは、鎖骨から耳の後ろへ斜めに走っている胸鎖乳突筋と呼ばれる筋肉の外傷によるものです。

 

原因?

通常は、出生時に起こる筋肉の外傷によるもので、頭が出てくる時に筋肉がひっぱられることで生じたものです。筋肉が強度に引っ張られると、筋肉組織が裂けたり出血したりします。出血やむくみが生じると、筋肉中の圧が高まり障害をきたします。その後、瘢痕組織に置き換えられることで、赤ちゃんは、首を一方向のみに向けるようになります。

 

診断は?

先天性筋性斜頚は、医師の診察によって診断されます。

 

治療?

大半は、自然に治ります。ご両親が手伝って赤ちゃんの向きにくい方に首を曲げてあげることで少しずつよくしてあげることも可能です。例えば、赤ちゃんをベビーベッドに寝かせ部屋の中の様子を自分で見させるようにします。興味のある物があれば自然に曲がりにくい方にも首を曲げさせるようにします。こうるすことで、伸びにくい方の首の筋肉が自然に引っ張られ、自然な斜頚の治療となります。 先天性筋性斜頚の治療には、受動的なストレッチ運動が必要です。 これは、ご両親が赤ちゃんの首の運動を手伝うことで斜頚を良くすることができるということです。下記のような運動を10回を1セットとし1日3回行いましょう。

頭を横へ曲げる:片方の手を首の筋肉が硬いほうの肩に置き、もう一方の手を赤ちゃんの頭におきます。ゆっくりと首を動かし赤ちゃんの顔をまっすぐ向かせます。赤ちゃんをまっすぐ向かせたまま、ゆくっりと頭を横に曲げ問題のない側の耳を肩に近づけるようにします。肩を抑えている手に軽く力をかけてもかまいません。

頭を回す:片方の手を首の筋肉が硬いほうの肩に置き、もう一方の手を赤ちゃんの頭におきます。ゆっくりと首を動かし赤ちゃんの顔をまっすぐ向かせます。今度は、ゆっくりと頭を曲げにくいほうに回転させます。(赤ちゃんは、普段反対方向を好んで向いているはずです。) 肩を抑えている手に軽く力をかけてもかまいません。

医師によっては、運動療法士に治療を依頼することもあります。1歳を過ぎても改善がなければ手術の対象になるかもしれません。

 

いつ病院に連絡しなければならないか?

以下のような場合には連絡して下さい。

  • どの位おきに受診すればよいかわからない場合。
  • 斜頚が悪化している場合。
  • 質問や心配事がある場合。